こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第18回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。
さて、第14回から16回の記事でみなさんのエニアグラムタイプの判定をし、17回では乳幼児期・児童期の自己・他者イメージについて探ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
今回は、中学生以降の経験から生じる「他者化」についてです。
思春期以降に、国・政治的思想・性別・家族での立場・仕事・科学やさまざまな思想など、自分以外のより偉大で崇高なものに同一化して生きることを、イデアサイコロジーでは「他者化」と呼んでいます(詳しくは「意識の成長と退行―心の病気と「他者化」―」「性格ってどうやってできるの?」をご覧ください)。
この記事では、この「他者化」があなたの心理構造に影響を及ぼしているのかいないのかについて探っていきたいと思います。
【チェックシート6:他者化】
では、他者化について詳しく見ていきましょう。
次のチェックシートの質問に答えてください。
◉1 以下の項目(◆)の中に、
☆あなたが「これこそが自分だ」と思うことによって精神的に安定していられると感じる自分像
☆それを自分と思わないと不安や自信のなさに直面しそうで怖いと感じる自分像
もしくは、
☆周囲からそのイメージで見られるように行動しているような自分像
はありますか?複数でも構いません。
◆日本人である自分
◆男性もしくは女性である自分
◆家族での立場(父親・母親・兄姉・弟妹・息子・娘・夫・妻etc)
◆学校・仕事・職場での立場
◆芸能人やインフルエンサー、YouTuberなどの有名人やアニメキャラを好きな自分
◆哲学・政治的立場などを含む思想、数学や物理学などの科学的知識、歴史、心理学、芸術、サブカルチャー、スピリチュアル系の知識などを探求する自分
では、この結果を分析していきますね。
他者化の状態については、エニアグラムタイプとの関連で以下の4つのケースに分かれます。
(1) エニアグラムタイプが分かっていて、当てはまると思った項目がない場合。もしくは、エニアグラムタイプが分かっていて、当てはまると思った項目のイメージを守るためよりも、エニアグラムタイプの欲求・不安から行動することの方が多いと感じる場合。
(2) エニアグラムタイプが分かっていて、エニアグラムタイプの欲求・不安から行動するよりも、当てはまると思った項目のイメージを守るために行動することの方が多いと感じる場合。
(3) エニアグラムタイプが分からず、当てはまると思った項目がない場合。
(4) エニアグラムタイプが分からず、当てはまると思った項目がある場合。
(1)と(3)は他者化はしていない状態、(2)と(4)の場合は他者化が生じている可能性が高いです。
他者化の問題点
上記の項目の中でも、「科学や思想、哲学等の専門知識を追求する自分に同一化することは他者化に入るの?」と疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。もちろん、「専門知識を追求すること」は全く悪いことではありません。むしろとてもいいことですよね。もちろん、他の項目も悪いことではありません。
ただ、それが無意識のうちに自分の不安や自信のなさなどの弱点を補うために使われ、そこに同一化することによって、エニアグラムタイプ、乳幼児期・児童期の自己・他者イメージ、遺伝の影響などと向き合わなくなることが問題なんです。
自分の内面を直視しなければ、いつまでたっても奥底に隠されたネガティブな作用を持つ信念やイメージなどを変えることはできず、人間関係全般でネガティブな影響が生じてきてしまいます。
ですから、他者化の影響の有無を意識化しておくことは、人生をより幸せに生きるためにはとても重要なことになります。
もし他者化があったとしても、意識することができれば、エニアグラムタイプから生じる欲求・不安や自分の内側から生じる感情・感覚などによりアイデンティティを持つことで、比較的簡単にやめることができるからです。
他者化への対処法については、次の第19回「あなたの同一化の型は?」の記事で詳しくお話します。