こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第3回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。
さて、第1回と第2回の記事では、「性格の4つの層」と「乳幼児期に作られる認知様式はエニアグラムである」というお話、そして、エニアグラムタイプの作られ方についてお話ししたので、おおまかな心の仕組みはお伝えできたかと思います。
では、そこから「どう自己分析を進めるか」ということになってきますよね。
この第3回目の記事では、「悩みを根本から解決するための自己分析をどこから始めるか」、そして、心の状態を見るための分類法についてお話していきます。
自己分析はまずエニアグラムタイプの判定から
第2回の記事(「フロイトの意識発達理論とエニアグラムタイプ」)で、
エニアグラムタイプの意識化の有無が、その人の意識の状態(自我同一性地位)を決める決定的な因子となっている
とお話しました。
なので、私は、まずエニアグラムタイプがその人に意識されているかどうか、性格として表れているかどうかを見ることが重要だと考えています。
そして、まずエニアグラムタイプを見る理由としてもうひとつ、エニアグラムタイプが判明することで、はじめて遺伝や乳幼児期・児童期の経験、中学生以降の経験の影響を区別することができるようになるという点もあります。
心の状態の5カテゴリー
また、エニアグラムタイプが判明したらその人の意識の状態の判定は終わりというわけではなく、エニアグラムタイプから生じる欲求・不安をどれだけコントロールできているかという点でも意識状態が分かれてきます。
この欲求・不安のコントロール度の高いケース、中程度のケース、低いケースの3つと「他者化」「自我同一性拡散」の組み合わせで、大まかに5つの心の状態のカテゴリーができます。
エニアグラムタイプを判定し、欲求・不安のコントロール度を見て、他の3つの層を探ることで、その人がどの意識状態にあるかが分かります。
エニアグラムタイプの欲求・不安コントロール度が高いケース
では、5つのカテゴリーのそれそれがどのような意識状態なのかについてお話しますね。
まず、エニアグラムタイプの欲求・不安のコントロール度が高いケースというのは、中学生以降の経験や乳幼児期・児童期の経験から生じる傾向を意識化し、それらを自分の本質とは別物として見ることができています。そのため、それによって動かされることはほとんどありません。
エニアグラムタイプの欲求・不安を意識していて、そこにアイデンティティを持っていますが、不安を現実に行動化してしまうことはありません。冷静に適切な判断ができるので、人間関係や仕事などでも失敗が少ないです。
そして、自分の欲求や適性が分かっているので、どの方向性に進んだらいいのかも理解しています。エニアグラムタイプの欲求を、よりポジティブに自分の才能として社会的日常的に活かすことができます。
また、欲求・不安のコントロール度が高い人は、自分を深いところから本質的に理解しているので、心の理解が浅い人も深い人も、いろんな状態の他人の心を理解することができる状態になっています。
つまり、自分がほんとうにやりたいことができ、人間関係も仕事も恋愛も上手くいく。そういう状態に自然に自分を持っていくことができるのが、エニアグラムタイプの欲求・不安のコントロール度が高い人です。
同時に遺伝の影響もコントロール可能になっています。
欲求・不安のコントロール度が中程度&低いケース
欲求・不安のコントロール度が中程度のケースは、エニアグラムタイプの欲求・不安に基づいて行動していますが、まだ中学生以降の経験や乳幼児期・児童期の経験が影響力を持っている場合もあります。
状況判断や行動が、中学生以降の経験や乳幼児期・児童期の経験やエニアグラムタイプの不安に影響されがちなので、問題が起こることもありますが、生活に重大な支障をきたすほどのものではありません。
遺伝の影響もコントロールできる時とできない時があります。
欲求・不安のコントロール度が低いケースは、エニアグラムタイプの特徴は表れてはいますが、中学生以降の経験や乳幼児期・児童期の経験が多くの場合ネガティブで強い影響力を持っているため、エニアグラムタイプや遺伝の影響がほぼネガティブにしか表れていない状態です。
現実生活も上手くいかないことが多く、悪化していくと心の病気を発症することもあります。
他者化と自我同一性拡散のケース
「他者化」は、エニアグラムタイプよりも、乳幼児期・児童期にできた自己イメージや、中学生以降の経験の層の「自分以外の崇高なもの」を自分と感じている状態です。
エニアグラムタイプの影響がある程度出ている場合とほとんど出ていない場合、エニアグラムタイプを意識化している場合としていない場合の両方があります。
遺伝やエニアグラムタイプ、乳幼児期・児童期の経験など自分の深い部分と向き合うことが苦手なので、深い人間関係を築くのは難しいですが、精神的には安定しているケースも多いです。
最後の「自我同一性拡散」というのは、第1回の記事でお話したマーシャの自我同一性地位の中で、「危機」も「傾倒」も経験していない状態のことです。
つまり、親の価値観や乳幼児期・児童期の経験や中学生以降の経験からくる自己イメージ、「自分以外の崇高なもの」を取り入れているわけでもないのですが、エニアグラムタイプの影響もほとんど表れておらず、自分の考えや価値観がなく、常に周囲に流されて生きているような状態となります。
全く問題意識のないケース、漠然とした不安感や生きにくさを感じているケースなどがあります。