こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第4回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。「悩みを根本から解決するための自己分析」シリーズ理論編の最後になります。
第1回から第3回目の記事までで、おおまかな心の仕組みとエニアグラムタイプの作られ方についてはお話できたので、ここでは、より現実に即した側面からエニアグラムのシステムと各タイプの特徴の捉え方についてお話していきたいと思います。
エニアグラム各タイプには2つのサブタイプがある
さて、エニアグラムの従来の理論には「サブタイプ」と「成長・退行の方向性」という概念があります。
これは、これからエニアグラムタイプを判定していくために必要な概念なので、簡単に説明しておきますね。
では、まず「サブタイプ」からはじめましょう。
今までお話してきたエニアグラムの9つのタイプには、それぞれ2つのサブタイプが存在すると言われています。
基本的な特徴はタイプごとに共通していますが、どのようなサブタイプを持つかによって性格の表れ方が変わってきますので、このサブタイプはとても重要です。
エニアグラムタイプ | サブタイプ |
タイプ1(裁判官) | タイプ1−9 タイプ1−2 |
タイプ2(看護師) | タイプ2−1 タイプ2−3 |
タイプ3(実業家) | タイプ3−2 タイプ3−4 |
タイプ4(芸術家) | タイプ4−3 タイプ4−5 |
タイプ5(研究者) | タイプ5−4 タイプ5−6 |
タイプ6(営業マン) | タイプ6−5 タイプ6−7 |
タイプ7(芸人) | タイプ7−6 タイプ7−8 |
タイプ8(教祖) | タイプ8−7 タイプ8−9 |
タイプ9(庭師) | タイプ9−8 タイプ9−1 |
サブタイプは上の表のように、必ずそのタイプの両隣のタイプとなっています。
例えば、タイプ1ならば、タイプ9とタイプ2がサブタイプとなり、同じタイプ1でもタイプ9の要素が入っている人と、タイプ2の要素が入っている人に分かれるということです。
つまり、エニアグラムタイプは厳密には9つではなく、サブタイプを含んだ形で合計9×2=18個のタイプが存在するということになります。
私は、タイプ1でサブタイプがタイプ9の人の表記を「タイプ1—9」とし、「タイプイチキュウ」と読んでいます。他のタイプも同様です。
エニアグラムタイプの成長と退行の方向性
また、従来のエニアグラム理論には成長・退行の方向性というものがあります。
これは、タイプ3・6・9と他のタイプ1・2・4・5・7・8で、全く別の二つの流れを持っています。
タイプ3は成長するとタイプ6的な特徴を持つようになり、タイプ6はタイプ9的な特徴を、タイプ9はタイプ3的な特徴を持つようになります。
そして、タイプ1は成長するとタイプ7的な特徴を持つようになり、タイプ7はタイプ5的な特徴、タイプ5はタイプ8、タイプ8はタイプ2、タイプ2はタイプ4、タイプ4はタイプ1的な特徴を持つようになります。
退行の方向性はこれとは逆の方向となります。
つまり、たとえば、タイプ6がタイプ3的な特徴を持つのは自我にとっては良くない方向ということです。
ただ、私はこれは単純に考えられるものではなく、例えばタイプ1がタイプ7的な特徴を持ったとしても、すべてがいい方向とは言えないと考えています。詳しくは各タイプの特徴の記事で説明します。
エニアグラムタイプの特徴の2つの側面
もうひとつ、各タイプの特徴の説明をする前に、エニアグラムタイプの特徴の捉え方についてお話しておきますね。
私は、エニアグラム各タイプの特徴は2つの側面から見ることが重要だと考えています。
1つは、各タイプの内面的な特徴、つまり、各タイプの人はどのように感じて生きているのかということです。自分の中から見たエニアグラム各タイプの特徴ですね。
2つ目は、各タイプの外面的特徴、つまり、各タイプの人が他人からはどのように見えるのかということです。
第1回と第2回の記事では、エニアグラムタイプは乳幼児期の親子関係を基盤に作られているとお話しました。その作られた枠組みの影響が出てくるのが13〜14歳前後の思春期で、それはまず欲求・不安という形で表れてきます。
このような欲求と不安を常に感じていると、現実生活の中での自分の言動に一貫性が生じ始めます。これが自分のパターン、つまり性格を形成していくわけです。
この欲求・不安によって作られるパターンが各タイプの内面的特徴となります。
エニアグラムタイプの内面的特徴を表す4つの項目
では、このエニアグラムから生じる欲求・不安は、現実生活において本人にはどのように感じられているのでしょうか。
私は、それは自分の「好きなこと・嫌いなこと」「長所・短所」「趣味」「仕事」などに特徴的に表れてくると考えています。
継続的な欲求は「好きなこと」として意識されるようになりますし、継続的な不安は「嫌いなこと」として意識されます。
そして、「好きなこと」が更に継続すれば行動としての「長所」に、「嫌いなこと」が更に継続すれば行動としての「短所」につながって行きます。
また、それは「趣味」や「仕事」にも影響を及ぼすことになるんですね。
第5回目以降の「各エニアグラムタイプの特徴」についての記事では、まず、この「好きなこと・嫌いなこと」「長所・短所」「趣味」「仕事」の各項目を通して、各エニアグラムタイプの内面的特徴をお話していきます。
エニアグラムタイプの外面的特徴
さらに、エニアグラムタイプは、面白いことに人間の顔つきや身体つき、全体的な雰囲気にも表れます。
エニアグラムタイプは自我の基盤を作るものであり、人間は無意識にそれを通してすべての認知を行っているため、日々の生活の中で少しずつ顔つき身体つきにも影響を及ぼしていくのではないかと考えています。
第5回目以降の「各エニアグラムタイプの特徴」の記事では、各タイプの外面的特徴を分かりやすくお伝えするために、具体例として有名人をあげ、そのタイプが実際、現実的にはどのような表れ方をするのかについてご紹介していきたいと思います。