こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第6回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。
さて、今回はタイプ2(看護師)についてお話していきます。前回同様、自分や周囲の人達のことを思い浮かべながら読んでみてくださいね。
タイプ2の世界観と自己・他者イメージ
では、まずタイプ2の内面的特徴についてです。
第2回「フロイトの意識発達理論とエニアグラムタイプ」の記事で、タイプ2は「善悪の概念の世界」で「いい子と認められない」欲求不満をベースに形作られるとお話しました。
これは、親に「いい子と認められるように努力したけれども思うようには評価されなかった」という経験から生じてきます。
具体的には「お手伝いをしたけど、あまり褒められなかった」「お母さんにプレゼントを渡したが、あまり喜んでもらえなかった」などの経験をしたり、無意識に漠然と「何をしても親にいい子と認められない」という欲求不満を抱えていた場合にタイプ2の世界観が形成されます。
そこから、
自己イメージ:善と認められないという欲求不満を持つ自分
他者・世界イメージ:なかなか善と認めてくれないもの
という自己・他者イメージが作られます。
タイプ2の好きなこと・嫌いなこと
そして、タイプ2は、すべての物事をそのタイプ2の枠組み、フィルターを通して認知するようになるため、世界は「善悪の概念の世界」に見え、その中で自分が他人や周囲から善と思われることを求めるようになります。
思春期になってその枠組みが浮上してくると、「他人や周囲から善と思われたい」という欲求と「善と思われない」という不安が感じられるようになります。
すると、タイプ2は、他人にいい人と思われること、他人の役に立つこと、必要とされることに喜びを感じるようになります。
逆に、他人にいい人と思われず、必要とされないこと、他人に対して罪悪感を感じることに恐怖感を持ちます。
好きなこと | 他人にいい人と思われること・他人の役に立つこと・必要とされること |
嫌いなこと | 他人にいい人と思われないこと・他人に必要とされないこと・他人に対して罪悪感を感じること |
長所 | 責任感が強い・真面目・頼りがいがある・包容力・親切・気配り上手・協調性が高い・明るい・おおらか・寛容・人に尽くす・場を盛り上げる |
短所 | 頼られると断れない・自分が他人に頼るのは苦手・道徳観や倫理観を振りかざす・責任感が強すぎてバーンアウトしがち・他人を操作する |
趣味 | ボランティア・料理・裁縫・手芸・歌 |
仕事 | 医療関係・教育関係・福祉関係 |
タイプ2の長所
そして、このような欲求・不安を感じ続けると、行動としては、責任感が強い、真面目、頼りがいがある、包容力がある、親切、気配り上手、協調性が高い、明るい、寛容、人に尽くすなどの長所が表れてきます。
また、複数の人が集まる場では一生懸命話題を振ってその場を盛り上げようとします。場を盛り上げるのが得意なのは、エニアグラムタイプでいうとなんと言ってもタイプ7(芸人)なので、たまにタイプ7と間違われることがあります。
でも、タイプ2とタイプ7ではその動機に大きな違いがあります。タイプ7は自分の孤独を回避するために場を盛り上げるのであって、あくまで自分のためなのです。
それとは対象的に、タイプ2は他人にいい人と思われたい欲求と責任感のために場を盛り上げようとします。そして、そのせいで帰宅後にどっと疲れが出てしまうことも多いようです。
このように、タイプ2は他人のために動きすぎてしまうことで自分が蔑ろにされる傾向があるので、「いい人と思われたい」という欲求のコントロール度を高め、自分と他人のバランスを取ることが求められます。
つまり、自分が何を感じ、考え、何をしたいのかを大切にして、他人との関係の中でお互いによい状態を作り出すことが理想となります。自分の存在そのものや個性を大切にした上で、タイプ2の長所を活かすことですね。
タイプ2の短所
逆に短所としては、頼られると断れない、自分から他人に頼るのが苦手、責任感が強すぎてバーンアウト(燃え尽き)しがちという傾向があります。
欲求・不安のコントロール度が低下すると、他人から頼られたときに余裕がなくても断れなくなってしまいます。
そして、自分のキャパシティを超えて他人のために動きすぎてしまうので、疲れ切ってしまうのです。それが更に悪化すると、うつ状態や大うつ病を発病する傾向があります。
また、本人は良かれと思ってのことなのですが道徳観や倫理観を振りかざしがちで周囲から煙たがられる面もあります。
更に欲求・不安のコントロール度が低下していくと、タイプ2は無意識に他人を操作しはじめます。
人の役に立ついい人と思われるのは難しいとなると、タイプ2は人に心配されたい、かわいそうと同情されたいと感じるようになります。すると、おおげさに被害者的な素振りをしてみたり、自分はこんなに頑張っているのに報われないという話をして、周囲から同情と承認を得ようとします。
この傾向が、複数のグループや家族内で出るととてもやっかいなことになります。
自分の気に入らないことがあったりして意志や要求を通したいとき、通常は自分の言葉で伝えるものですが、タイプ2の欲求・不安コントロール度が低下している人の場合、ストレートに言うことはありません。ストレートに要求すると「いい人」というイメージが維持できないからです。
遠回しに「あの人にこんなことを言われて辛い」「自分はこんなに努力しているのに」などと言って、周囲の人に「かわいそう」「私が何とかしてあげなきゃ」と思わせるのです。
自分は耳障りのいい言葉しか言わず、いい人のまま自分の要求どおりに周囲を動かそうとします。ただ本人は操作していることには全くの無意識で「いいことをしている」「自分はいい人」と感じているケースも多いのですが、その操作は驚くほど巧妙で完璧だったりします。
特に、このようなタイプ2を母親に持つと、子供は「お母さんかわいそう」と感じ、自分を犠牲にしても母親を守らなければと考えて、自分の人生を生きられなくなってしまいます。最近話題の毒親の一つの類型なのではないかと思います。
タイプ2の趣味と仕事
では、次に趣味に移りましょう。タイプ2に特徴的な趣味は、タイプ1ほど広い分野にまたがってはいません。
タイプ2は「いい人と思われたい」「人を助けたい」という欲求から、ボランティア活動に興味を持つ方も多いです。また、特に女性ですが、料理を中心に裁縫、手芸などにも興味を持ちます。
また、声量があり歌が上手い傾向もあります。
仕事は、タイプ2の名前にもなっている看護師などの医療関係、小学校中学校の教師を中心とした教育関係、福祉関係に適性があると考えられます。
もちろん、他の仕事でも「他人の役に立ちたい」という思いを実現できる仕事であれば、タイプ2はやりがいを感じて働くことができます。
タイプ2−1の外面的特徴・有名人事例
では、つぎにタイプ2—1の外面的特徴にいきましょう。
タイプ2−1は、親しみやすく、なんでも聞いてくれそうな懐の深さや頼りがいのある雰囲気を持っています。
それに加えて、全体的に活力があってエネルギーの強い感じを受ける方が多いです。特に30〜40代以上の女性に多いのですが、笑い方が豪快なケースもあります。
また、タイプ2−1はタイプ1の要素が入っているため、タイプ2−3よりも義務感・責任感が強めで真面目な雰囲気となりやすいです。
タイプ2—1の顔と身体の特徴としては、目が大きく鼻が丸い印象、そしてかなり太りやすい傾向を持っています。
タイプ2—1は見た目よりも、自分が周囲にとって「よい人間かどうか」を気にするので、あまり体型のことは重要視しないのかもしれません。
◉タイプ2−1の男性有名人
真面目系 | 武田鉄矢・西田敏行 |
頼れるいい人系 | 石塚英彦・伊集院光・笑福亭鶴瓶・天野ひろゆき |
◉タイプ2−1の女性有名人
真面目系 | 有働由美子 |
頼れるいい人系 | マツコ・デラックス・森公美子・島崎和歌子・松本明子・柏原郁恵・近藤春菜・江上敬子・近藤くみこ・柳原可奈子 |
タイプ2—1の有名人は、タイプ1などに比べると、タイプ内でそこまで大きく雰囲気が分かれることはありません。頼りがいがあり大らかで優しいお兄さん&お姉さん的な、タイプ2—1の王道の「頼れるいい人系」としっかりしてやや硬い雰囲気のある「真面目系」です。
見た目が重要視される俳優や女優にはタイプ2—1は少なく、いても演技派となります。多いのは、人を楽しませるタレントや芸人です。
タイプ2−3の外面的特徴・有名人事例
タイプ2—3は、タイプ2の責任感の強さやいい人、明るく親しみやすいという雰囲気にタイプ3の社会的基準における優劣を気にする傾向が加わるため、タイプ2—1よりも気が強く、見た目を重視するので華やかな雰囲気になります。
タイプ2—1と同様目が大きいですが、鼻は大きくない傾向があり、身体はタイプ2—1に比べると太る人は少なめです。
一部の特に女性に、足が長くスタイルの良い人もいます。
◉タイプ2−3の男性有名人
頼れるエンターテイナー系 | 中居正広・薬丸裕英・パパイヤ鈴木 |
◉タイプ2−3の女性有名人
清楚系 | 井上真央・矢田亜希子 |
個性派系 | 竹内まりや・渡辺美里 |
サバサバ姉御肌系 | 藤原紀香・米倉涼子・浅野ゆう子・松下由樹・山口智子・安藤和津・小泉今日子・友近・はるな愛・アンミカ |
タイプ2—3も、大きく雰囲気が分かれることはありません。ほとんどはタイプ2—3の王道の「頼れるエンターテイナー系」と「サバサバ姉御肌系」となります。
イメージがやや違うのは、あまり自分を押し出さない清楚系、個性派系の女性のみとなっています。
タイプ2—3の女性有名人は女優さんが多いのが特徴です。その他は人を楽しませるタレント、芸人となっています。
また、タイプ2−3女性は、他人に頼るのが苦手で、さらにタイプ3の自尊心も入ってくるので、男性に甘えるのが苦手で恋愛下手な傾向もあります。