こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第12回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。
今回は、エニアグラムのタイプ8(教祖)の特徴についてお話します。
前回同様、自分や周囲の人たちに当てはまるかどうか考えながら読んでみてくださいね。
タイプ8の世界観と自己・他者イメージ
では、タイプ8の内面的特徴からはじめましょう。
第2回「フロイトの意識発達理論とエニアグラムタイプ」の記事で、タイプ8は肛門期(1歳半から3歳)の「身体対身体の世界」で「世界の中心になろうとしたけれどもなれなかった」という欲求不満をベースに形作られるとお話しました。
具体的には、絵を描いたり、積み木を積み上げたり、ゲームで勝ったというような時にあまり褒められなかった、注目されなかったという経験をしたり、無意識に「世界の中心と認められていない」「努力しても注目されない」と思われているという感覚を持った場合です。
そこから、
自己イメージ:世界の中心になろうとしたけれどもなれなかった自分
他者・世界イメージ:自分を世界の中心と認めてくれないもの
という自己・他者イメージが作られます。
タイプ8の好きなこと・嫌いなこと
このような世界観のなかで自分を守るためには「自分が中心であると他人に思わせること」が必要になります。
なので、タイプ8は、思春期になると「自分が中心であると他人に思わせたい」「自分が他人を動かしたい」という欲求を感じるようになります。
つまり、自分の身体と他人の身体の相互の力関係が興味の対象になり、その中で自分が上位に立ちたいという欲求が生じるのです。
タイプ8が最も求めていることは、タイプ3のように能力や学歴、社会的立場、見た目の優劣などで自分が上と思うことではなく、対象はあくまで「人」なんですね。目に見えるその場での他人との力関係です。
したがって、他人に影響力を持つこと、他人に尊敬されること、能力を認められること、自分の意志を通すこと、他人に恐れられることなどを欲するようになります。
逆に、タイプ8は自分が他人に屈服して、他人にコントロールされるのを最も嫌がります。
つまり、他人に力関係で負け、指図されること、屈服すること、馬鹿にされること、自分の弱みを見せることなどを非常に嫌がります。
好きなこと | 自分が中心であると他人に思わせること・自分が他人を動かすこと |
嫌いなこと | 自分が中心として扱われないこと・他人に動かされること・屈服すること |
長所 | 威厳がある・行動力がある・挑戦好き・頼りがいがある・リーダーシップがある・面倒見がいい |
短所 | 自己中心的・尊大・他人を奴隷のように扱う・怖がり・反社会的・誇大妄想 |
趣味 | 自分の力を誇示できるもの・リーダーシップを発揮できるもの・スリルのあるもの・歌・料理 |
仕事 | リーダーシップを発揮できる仕事 |
タイプ8の長所
このような傾向から、長所として、胆力がある、行動力がある、挑戦好き、頼りがいがある、リーダーシップがある、面倒見がいいなどの特徴が現れます。
タイプ8は、無意識の前提として「常に眼の前の人よりも力関係で上でいなければ」という思いがあるので、基本的に自信家で威厳がある雰囲気をまとっています。
また、胆力があり、挑戦好きで行動力もあるので、リーダーとして頼りがいがあるタイプです。自分を慕う人に対しては非常に面倒見がいい一面を持っています。
更に欲求・不安のコントロール度が上がると、以上の長所を保ったまま、謙虚な姿勢を身に着け、人を対等に扱い、自分の立場の上位性を誇示するためではなく、他人や集団全体のために行動するようになります。
自分の力を他人や集団のために役立てたいと感じ、結果的に周囲に慕われるようになります。
タイプ8の短所
逆に、欲求・不安のコントロール度が下がっていくと、短所としては、自己中心的、尊大、他人を奴隷のように扱うという傾向が生じます。
その場で自分が王様のように振る舞い、他人に意見を言わせないような威圧感を出します。
更に欲求・不安のコントロール度が下がると、人間を対等に見ることができず、他人を奴隷のように扱うようになります。
特に、タイプ8男性は女性に対して、見た目や容姿だけで評価する傾向があり、容姿が優れない女性に対して酷い扱いをする人もいます。
また、社会的基準よりも自分の基準を重要とし、人の上を行くためには何でも利用しようとなりがちなので、反社会的な思想を持ちやすいです。これが悪化していくと、反社会性人格障害的な傾向が生じていきます。
また、「自分は世界一スゴイ人間」などの誇大妄想を持つケースもあります。
タイプ8は一方で、非常に怖がりで繊細な一面も持っています。特に男性に多いのですが、物理的刺激(高所・閉所・騒音など)や爬虫類・虫、おばけなどに弱い方もいます。
ネガティブな感情と向き合うことに慣れていない傾向もあるので、一度落ち込むと重症化しやすい傾向もあります。
タイプ8の趣味と仕事
また、タイプ8は、タイプ1・4・7や5のようにはっきりとした特定の趣味を持つ傾向はありませんが、自分の力を誇示できるものやスリルを味わうことができるものに興味を持ちやすいです。
ギャンブル系や登山などの冒険系、またリーダーシップを発揮できるグループ活動などに熱中しやすい傾向があります。
タイプ2と同様に、歌が上手く、特に発声がよく声量がある傾向や料理に興味を持つ傾向もあります。
仕事は、自由にリーダーシップを発揮できるものであればやりがいを感じて働くことができます。人の下につく、制限の大きい仕事だとストレスを感じることが多いでしょう。
そのためには、欲求・不安のコントロール度を上げ、自分が上に立ち自由に振る舞える状況を作るための努力が必要となります。
タイプ8−7の外面的特徴と有名人事例
タイプ8−7は、タイプ8の堂々とした威厳のある雰囲気に、タイプ7の芸術的センスと面白さの追求のイメージが加わります。タイプ8−9に比べると、やや尖った雰囲気を持ちます。
顔は、ややツリ目で目の間の距離が近い傾向があります。身体はがっしりしていて、特に男性に、30代以降になるとやや太りやすく、恰幅のいい体型となる傾向があります。
◉タイプ8−7の男性有名人
イケメン系 | 堂本剛・近藤真彦 |
貫禄系 | 松方弘樹・梅宮辰夫 |
個性派系 | 前田亘輝・北島三郎・デーモン小暮・横山剣(クレイジーケンバンド)・箕輪浩介(編集者) |
芸人系 | 石橋貴明・ケンドーコバヤシ・グッチ裕三・宮迫博之・品川裕・原西孝幸 |
◉タイプ8−7の女性有名人
女優系 | 土屋アンナ・杉本彩・江角マキコ |
個性派系 | 大黒摩季・AI |
芸人系 | 和田アキ子・LiLiCo・青木さやか |
タイプ8−7の有名人男性は、「イケメン系」「貫禄系」「個性派系」「芸人系」に分かれます。「貫禄系」は、「これが男だ」という昭和の理想の男性像を体現しているタイプです。
「個性派系」はタイプ8の威厳に加えてタイプ7の芸術的センスを、「芸人系」はタイプ7の面白さの追求を売りにするタイプです。
タイプ8−7の有名人女性は「女優系」「個性派系」「芸人・タレント系」に分かれます。いずれの方も堂々とした威厳のある雰囲気に、芸術的センスやお笑いのセンスが加わっているイメージを持っています。
タイプ8−9の外面的特徴と有名人事例
タイプ8−9は、タイプ8の堂々とした威厳のある雰囲気に、タイプ9の調和と平和を好む傾向がプラスされます。タイプ8−7よりも親しみやすく、どっしりと構えた安定感のある雰囲気を醸し出します。
顔は、タイプ8−7よりも目は丸く柔らかい雰囲気です。身体は、タイプ8−7と同様でがっしり体型で、男性は30代以降になると恰幅がよくなる傾向があります。
タイプ8−9有名人は全体的にサンプルが少なく、特に女性有名人が少なかったので、男女一緒に説明します。
◉タイプ8−9の有名人
やんちゃ系 | 村上信五・諸星和己・SHELLY |
貫禄系 | 梅沢富美男・中尾彬・石原裕次郎 |
タイプ8−9の有名人は、やんちゃで物怖じしない雰囲気の「やんちゃ系」、男性俳優中心の「貫禄系」の2つに分かれます。
「貫禄系」は、タイプ8−7と同じですが、8−7よりもやや優しく柔らかい雰囲気となっています。