こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
前回に引き続き、自己分析セッション3回を修了し、ご感想をくださった方がいらっしゃいますのでご紹介したいと思います。
今回は、Nさん(30代女性)です。
<自己分析セッションのご感想:Nさん(30代女性)>
私も多くの例にもれず(?)、エニアグラムの自己診断が、春井さんの見立てとは異なっていました。
自分で選択するときもなかなか1つ絞れず。しかし、吟味を経て選びぬいたタイプが違っていた…!?
いかに潜在的無意識を把握していなかったかということですよね。自分の本質をはき違えて生きていた。
根っこがグラグラなもんだから、そりゃあ人生噛み合わないことも出てくるでしょう。
私の場合は父のタイプ[1]を遺伝的に強く引いていましたが、幼少時代の経験から、自分をタイプ[3]
だと思って行動していました。
次第に無理が出てきて、大学時代にタイプ[3]を諦めはじめ(笑)、徐々に手放して、現在はタイプ[1]として生活できています。
それでも自分はタイプ[3]かもというセルフイメージが残っているのだから面白いですよね。
自分のエニアグラムを認識することで、無意識だった感情、行動、衝動の根本が分かり、安心を得ることができました。
そして他者に対しての発見も。
タイプが違うということは、ただ単に趣味や長所、短所など表面的なことだけではなく、世の中の捉え方が全く異なっている。見えてる世界が全然違うということ。
こんな世界に生きていたのか。よく他人と会話ができていたもんだと、鳥肌がたちました。
また、幼少期の親子関係がもっとも重要と聞いて、リアルタイムで幼児を育てている立場としてどうあるべきかも気になるところ。
春井さんから、子供を持つ母としてもアドバイスがいただけました。
「子供に共感して接することです。」
他者(この場合子供)に共感するにはまず、自分をコントロールすること。自分をコントロールするには自分を知ることが不可欠。結局ココなんですね!
自分を知ることを、これまでいかに蔑ろにしてきたのでしょう。
人生を前向きに生き抜くためには、自分と向き合って、軸を持ちながらコントロールすることが非常に有効だということがよく分かりました。
イデアサイコロジー、微力ながら広めていきます!
自己分析シリーズ第16回の「間違われやすいエニアグラムタイプと判定が難しいケース」の記事では書いていませんでしたが、タイプ1とタイプ3も間違われやすいタイプです。
性格の構造上では、タイプ3は肛門期の満足系、タイプ1は男根期の不安系で重なる部分がないタイプなのですが、表面的には共通部分も多いです。
社会的な活動が得意、話がうまい、目立ちたがり屋というような点ですね。実はタイプ1でも自分のなかの完璧主義が当たり前になっていて意識していない方も多いので、タイプ3だと思ってしまうケースも出てきます。
特に、1−2と3−2は区別が難しい場合があります。
1−2は1−9と比べるとさらにビジネス系に適性があり、3に近い雰囲気を持つようになります。ただ、やはりタイプ1は不安系=芸術家肌なので、3と比べると独自のセンスを持っており、何かを決める時、判断する時には自分の中の規準を採用します。その点で、タイプ3に比べると幾分、クールでやや拒絶感、壁を感じる雰囲気を持つんですね。
タイプ3−2は、好青年風、親しみやすさ、わかりやすさ、単純という雰囲気があります。何かを決める時、趣味なども、社会的に価値があるかを重要視しますので、独自のセンスはあまりないケースが多いです。
タイプ1も3も勉強家でもありますが、タイプ1はスピ系など社会的に認められたものでないものにも興味を持ち、自分の中で体系化し、法則を見出そうとする傾向がありますが、タイプ3は基本的に社会的に認められた知識を求め、その量や資格の取得で勝負するようなところがあります。
つまり、やはりタイプ1の意識は内面に向かい、タイプ3の意識は外面に向かうということです。このように、表面的には似たような性格に見えても性格の構造はかなり違っているんです。
そして、もう一つ、Nさんのご感想で書かれている「共感」「子育て」についてお話したいと思います。
自己分析シリーズの最後の記事「周囲の人たちの性格分析のコツ」でもお話しましたが、イデアサイコロジーの最終目的はこの「共感」にあります。自分と他人を正確に知る人同士がお互いを理解することで本当の共感が生まれる。そういう絆を築くことができる人を増やしていきたいというのが私の大きな目的の1つです。
「自分と他人を知り共感すること」はすべての人間関係で重要なのですが、子育てには最も必要なことだと言えます。なぜなら、子育てには仕事や浅い人間関係では出ない、自分の無意識レベルのものが影響してしまい、しかもその影響が子供の人生に多大な影響を及ぼすからです。
子供の性格の「4つの層」の、「中学生以降の経験(他者化)」「乳幼児期・児童期の経験」の層をできるだけポジティブで影響の弱いものにとどめ、子供が自分のエニアグラムタイプを意識化して欲求・不安をコントロールし、タイプと遺伝の長所を社会的に活かすことができるようにサポートすることが、子育てには最も大切なことではないかと思っています。
そのためには、まず親が「自分を正しく知る」ということが必要になってくるんですよね。親が子供に、無意識に欲求・不安や感情のままに接することで、子供のなかの「乳幼児期・児童期の経験」「中学生以降の経験」の層にさまざまな信念や感情などが強く刻み込まれ、タイプや遺伝の意識化、その長所を活かすことを妨げることになってしまうからです。
自分を知り、自分の欲求・不安をコントロールしながら子供の立場に立ち、「共感」しながら必要なことは教える……とてもエネルギーのいることではありますが、目指すべきところはそこかなと私は思っています。