こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
仕事や恋愛、人間関係、子育てなどの悩みがあるとき、ネット記事や自己啓発書、インフルエンサーの話などを参考にする方も多いと思います。
でも、実は、これらは一人ひとりの状況に対応したものではないので、結局根本的には悩みが解決しない場合が多いんです。
この記事では、一人ひとりが無意識に抱える心のパターンまで考慮に入れた臨床心理学的観点から、悩みを根本から解決するための方法についてお話したいと思います。
ネット記事や自己啓発書などの一般的な対応策では効果がないケースも
たとえば、「悩みを解決するにはどうしたらいいんだろう」とネットを検索してみると、
仕事なら「ネガティブ思考から脱して自分を信じて努力を続ける」「メモを取る」「できる先輩を真似る」
恋愛なら「感謝する」「束縛しない」「感情的にならない」
人間関係なら「価値観は人それぞれ」「嫌われる勇気も必要」
……なんて、よく書いてありますよね。
でも、これは一般的に万人が取り入れてもある程度は状況が改善する可能性があるというもので、一人ひとりの悩みに対応したものではありません。
人間一人ひとりは、生まれ持った気質や乳幼児期からしてきた経験がみんな違うので、表面的には似たような悩みだったとしても、その悩みが発生している根本的な原因が違います。
ですから、みんなに効果があるような対応策をしても、一時的には改善したとしても長くは続かなかったりしがちなんです。
自己分析というと就職活動の前にすることというイメージが強いと思いますが、ここでオススメする自己分析の方法はもちろん就活にも使えますが、人生全般の悩み解決やより楽に幸せに生きるためのものになっています。
ただ、一般の自己分析と違うのは、自分でも気づいていない無意識に近い部分まで明らかにしていこうとするところです。
悩みの原因は無意識の心のパターンにある
通常でも、なにか悩みがあると「どこに問題があるのか」「周囲の状況の分析」「ゴール設定」「対応策」などを考えるものですが、これはほとんどの場合、自分が意識できる範囲で行われます。
◉事例
たとえば、私の患者さんに「職場で同僚の女性たちに嫌われてるような気がする」という悩みを持っている女性がいました。
彼女は、「みんな忙しくてイライラしているだけかもしれない」「別に嫌われても仕事がデキれば問題ない」「できる範囲でにこやかに話しかけてみよう」と自分なりに考えて対応していましたが、なかなか状況は改善しませんでした。
彼女の場合は、実は同僚の中に問題を抱えた女性がいて、その女性が彼女の悪口をいいふらしていたことや、彼女自身の乳幼児期からの認知パターンや自己肯定感の低さ、そしてその自己肯定感の低さを補おうとして無意識に「マウント取り」をしていたことが周囲に嫌われる原因になっていました。
これに気づく以前は、彼女は自分の心のパターンにも無意識だったのですが、同時に、他人の状態を正しく分析することができず、同僚女性がそのような人だと全く思わなかったということです。その後、その同僚女性の悪い噂を耳にし、周囲は前から分かっていたことが目に入っていなかったことに気づくことができました。
このケースのように、自分の無意識の心のパターンが分かっていないときに、よく言われている万人に効果のある対処法を取ったり、通常の自己分析をしても結果が出ないことも多くあります。
また、この女性のように、自分の心のパターンが分かっていないと、同様に他人のことも分かりにくくなります。
どうしてかと言うと、人間は無意識に「他人も自分と同じ」と考えて物事を認識している場合が多く、自分が見えている狭い範囲の心の動きを他人に当てはめて、「自分だったらこうする」という前提で他人を判断してしまうというシステムがあるからなんです。
このような自分や他人、周囲の状況に対する判断力は、仕事や恋愛、人間関係の全てに影響するものですよね。
ですから、仕事や恋愛、人間関係などの悩みを根本から解決したり、本当に自分に合う仕事を見つけるためには、やはり無意識に近い部分まで見ることが必要になります。
自分が気づいていない部分まで含めた「自己分析」とは
では、どうしたら自分が気づいていない部分まで含めた自己分析ができるんでしょうか?
余裕のある方は臨床心理士のカウンセリングを受けるのもオススメですが、「カウンセリングは費用が高すぎるし時間もない」という方がほとんどではないかと思います。
また、一般の就活用の自己分析は、ビジネス畑の方がやっていることが多く、臨床心理学の専門家や臨床経験のある方はあまり見かけません。ですから、乳幼児期からの意識発達や心の仕組みを基盤にしたロジックがなく、どうしても意識している範囲内の表面的なものになりがちです。
そこで、
時間があるときに記事を読んで質問に答えるだけで、今の自分の状態や問題点、向かうべき方向性、周囲の人の特性などがすべて分かるので、仕事や恋愛、人間関係、子育てなどのいろんな問題を自分が気づいていない部分から根本的に解決できちゃう
なんて方法があったらいいなと思いますよね。
それがこれからご紹介する自己分析のやり方です。
【目次】悩みを根本から解決する自己分析のやり方
実は、これは、同じことをカウンセリングでしようとすると数ヶ月〜数年かかる場合もあるような内容なので、核心部分だけお伝えしてもどうしてもかなりの数の記事が必要になります。
なので、これから22回に分けて、この「悩みを根本から解決するための自己分析」のやり方をお伝えしていこうと思っています。
今後書く予定の記事を目次形式でお知らせしておきますね。
第1回から4回までは自己分析をするための準備となる理論編、5回から13回はエニアグラムタイプの具体的特徴についての解説、14回から21回は自己分析実践編となっています。
かなりの記事数になりますが、ぜひ1日数分でもお時間を取っていただいて自分と向きあう機会にしていただければうれしいです。
目次
- 1. 性格ってどうやってできるの?
- 2. フロイトの意識発達理論とエニアグラムタイプ
- 3. 【自己分析はどこからはじめる?】心の状態の5カテゴリー
- 4. エニアグラムのサブタイプと成長・退行の方向性、内面的特徴と外面的特徴
- 5. エニアグラムタイプ1の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 6. エニアグラムタイプ2の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 7. エニアグラムタイプ3の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 8. エニアグラムタイプ4の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 9. エニアグラムタイプ5の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 10. エニアグラムタイプ6の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 11. エニアグラムタイプ7の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 12. エニアグラムタイプ8の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 13. エニアグラムタイプ9の内面的特徴と外面的特徴【有名人事例】
- 14. 【チェックテスト】エニアグラムタイプ診断
- 15. 【チェックシート1〜2】エニアグラムタイプ診断
- 16. 間違われやすいエニアグラムタイプと判定が難しいケース
- 17. 【チェックシート3〜5】乳幼児期・児童期の自己・他者イメージの分析
- 18. 【チェックシート6】他者化の分析
- 19. あなたの「4つの層の同一化の型」は?
- 20. 【チェックシート7】遺伝の影響の分析
- 21. あなたの性格の全体像をつかもう!【サブカル女子と恋愛工学生の事例から】
- 22. 周囲の人たちの性格分析のコツ