こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第10回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。
今回は、エニアグラムのタイプ6(営業マン)の特徴についてお話します。
前回同様、自分や周囲の人たちに当てはまるかどうか考えながら読んでみてくださいね。
タイプ6の世界観と自己・他者イメージ
では、まずタイプ6の内面的特徴についてです。
第2回「フロイトの意識発達理論とエニアグラムタイプ」の記事で、タイプ6は男根期(4歳〜6歳)の「善悪の概念の世界」で「いい子と認められた」満足感をベースに形作られるとお話しました。
具体的には、「お手伝いをしていい子だね」「本を読んでえらいね」など、両親などからいい子と認められたという経験をしたり、無意識に漠然と「親からいい子と認められている」という感覚を持つようになった場合です。
そこから、
自己イメージ:いい子と認められている自分
世界・他者イメージ:いい子と認めてくれるもの
という自己・他者イメージが作られます。
タイプ6の好きなこと・嫌いなこと
タイプ6は、この世界観の中で自分を守るために、善悪を判断する親という「権威」に認められた自分というイメージを維持しようとします。
同じ満足タイプのタイプ3とは違い、両親などの「自分より上の立場の人に認められる」という構造が前提なので、必然的にタイプ6にとっての自分の地位は低くなります。
自分は常に下の立場にあるという前提を無意識に持つことになるんですね。
そして思春期になると、すべての人間に認められ、好かれたいという欲求が生じます。タイプ6の「好かれる人」の基準は、「〜するべき」という「善悪の概念」において権威者=他人から認められ可愛がられる人ということになります。
また、すべての人間の集合とは社会なので、社会的基準や価値観も重要視します。そして、逆に、すべての人間に好かれない状況や社会的基準で認められないことに不安や恐怖を感じます。
好きなこと | 人に好かれること・社会的基準で認められること |
嫌いなこと | 人に嫌われること・社会的基準で認められないこと |
長所 | 親しみやすい・人懐こい・気配り上手・思いやりがある・公平・常識人 |
短所 | 劣等感を持ちやすい・自分を犠牲にしがち・深い関係を築くことを怖がる・人の顔色ばかり見る・人間関係を回避する・自分の意見がない・自分の責任で決められない・依存的・人を見下す・弱者を邪険に扱う・マウントを取る |
趣味 | 社会的によいと認められたもの |
仕事 | 人と関わる仕事全般・社会的に認められた仕事 |
タイプ6の長所
このような欲求・不安から、親しみやすい、人懐こい、思いやりがある、気配り上手、みんなに公平、しっかりとした常識人などの長所が表れます。
「〜するべき」という善悪の概念も重要視するので、何事もしっかりきっちりとやりたいという傾向も持っています。
更に、欲求・不安のコントロール度が上がると、このような長所を維持したまま、すべての人に好かれていなくても自分の安定と自信を保っていられるようになり、自分と周囲の人間、世界に対して信頼感を持つようになります。
また、常識に凝り固まらず、それ以外の目に見えないものや抽象的なもの、思想・哲学などにも興味を持つようになり、自分の価値観、人生観をしっかりと持ちます。
そして、社会的基準の上下だけで人を判断しない人間になっていきます。
タイプ6の短所
逆に、欲求・不安のコントロール度が下がると短所として、劣等感を持ちやすい、自分を犠牲にしがち、人の顔色ばかり伺う、深い関係を怖がる、人間関係を回避するなどの傾向が生じます。
タイプ6は、自分が下の地位にいるという無意識の前提があるので、どうしても劣等感を持ちやすい一面があります。
そうなると、更に人に好かれて自尊心・自己肯定感を高めたいとなり、自分をあえて犠牲にして他人に尽くしたり、周囲に認められようと頑張りすぎてバーンアウトしがちです。
自分が尽くしているのに、相手から見返りがないと不機嫌になる傾向もあります。
また、タイプ6は初対面や付き合いが浅いうちは普通に付き合えるのに、つきあいが深くなっていくと自分の弱点や欠点がバレるのではないかという不安を抱く傾向があります。
そして、人の顔色を伺って自分を出せなくなり、人間関係もうまく行かなくなりやすいです。すると、さらに自信がなくなり人間関係を回避するようになります。
自分の意見がない、社会的常識や他人の意見をすぐ取り入れてしまう、自分の責任で決断できない、依存的という傾向も生じてきます。
以上のような傾向が更に悪化し慢性化すると他人の反応を異常に気にするようになり、赤面症や視線恐怖、醜形恐怖などの対人恐怖症の症状が生じます。
一方で、そのような自分の自尊心の低さや劣等感を嫌がり、逆に強気で自信のある雰囲気を持つようになる場合があります。
そのような場合、欲求・不安のコントール度が下がると、更に傲慢になり社会的な基準の優劣で人を見下すようになります。
また、社会的地位や家族での立場に同一化して「他者化」し、より弱い立場の人を邪険に扱ったり、マウントを取るようなケースもあります。
タイプ6の趣味と仕事
タイプ6は、基本的には社会的によいと認められたものに興味を持ちやすい傾向がありますが、次にお話するサブタイプの違い、遺伝的才能や経験によって、分野はまちまちとなります。
仕事については、多くの人と関わる仕事や社会的に認められた仕事が向いています。
タイプ6の人に好かれたいという欲求や、親しみやすく気配り上手な長所を活かせる仕事なら、やりがいを持って働くことができるでしょう。フリーランスや起業よりも組織の中で活躍する方が向いているタイプです。
タイプ6−5の外面的特徴・有名人事例
タイプ6−5は、親しみやすさがありますが、タイプ2のようにエネルギッシュな感じではなく、どちらかというと大人しい感じを持っています。
そして、しっかりとした真面目な常識人です。同時に、タイプ5の繊細さや神秘性を奥に秘めていて、タイプ6−7に比べると透明感があるように感じることが多いです。
顔には特に大きな特徴は見られません。身体は華奢な感じの方が多い傾向があります。
◉タイプ6−5の男性有名人
控えめで真面目な常識人系 | 水谷豊・滝藤賢一・大槻義彦(物理学者)・福田康夫(元総理)・小渕恵三(元総理)・尾美茂(新型コロナウイルス感染症対策分科会長) |
◉タイプ6−5の女性有名人
清楚系 | 松本穂香・雛形あきこ・アグネス・チャン・ビビアン・スー |
自信家系 | 田中みな実・小雪・滝川クリステル |
タイプ6−5の男性有名人は「控えめで真面目な常識人系」のみ、女性有名人は「清楚系」と「自信家系」に分かれます。
タイプ6−5男性は保守的現実主義的で、公務員、官僚、銀行、理系研究者、政治家などの堅めの職業に多い印象があります。
また、タイプ6−5は、タイプ5の要素が入るため、数学・物理学などの科学全般や、哲学・思想などに興味を持ち、「世界を知りたい」という欲求を追求する方も多いです。
タイプ6−7の外面的特徴と有名人事例
タイプ6−7は、6−5よりもさらに親しみやすく、人懐こい常識人という印象になります。そして、タイプ7の要素が入るので、より華やかでお調子者という雰囲気を持ちます。
顔は、目が大きくはっきりとした二重でまつげが長く、丸顔の方が多いのが特徴的です。身体は特に大きな特徴はありません。
◉タイプ6−7の男性有名人
イケメン系 | 高橋大輔・羽鳥慎一 |
個性派系 | 槇原敬之 |
芸人系 | 出川哲朗・林家正蔵・たかし(トレンディエンジェル) |
自信家系 | 有吉弘行・哀川翔 |
◉タイプ6−7の女性有名人
清楚系 | 熊田曜子・田丸麻紀・奥菜恵・香椎由宇 |
自信家系 | 長澤まさみ・安藤美姫 |
タイプ6−7の男性有名人は、「イケメン系」「個性派系」「芸人系」「自信家系」に分かれます。
「イケメン系」は中立ですが、「個性派系」の槇原さんや「芸人系」はタイプ6の親しみやすさや弱さや劣等感を売りにし、「自信家系」はそれを嫌がり強気で自信のある雰囲気を打ち出します。
タイプ6−7は、6−5のように学問や知識の習得、研究に興味を持つことは少ないですが、タイプ7の要素が入るので芸術的センスを持つ傾向があります。
タイプ6−7の女性有名人も、「清楚系」と「自信家系」に分かれます。