こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
「仕事・恋愛・人間関係の悩みを根本から解決!最も正確な自己分析のやり方」シリーズの第13回目の記事です(まず↑の記事から順にお読みください)。
エニアグラムタイプの解説も最後になりました。今回は、エニアグラムのタイプ9(庭師)の特徴についてお話します。
前回同様、自分や周囲の人たちに当てはまるかどうか考えながら読んでみてくださいね。
タイプ9の世界観と自己・他者イメージ
では、まずタイプ9の内面的特徴からはじめましょう
第2回「フロイトの意識発達理論とエニアグラムタイプ」の記事で、タイプ9は口唇期(0歳〜1歳半)の「自分と自分じゃないものの世界」で「母親=世界と一体化できた」満足感をベースに形作られるとお話しました。
タイプ5の記事で、赤ちゃんは母親の気持ちを感じ取るというお話をしましたが、タイプ9も同じように、母親に抱かれておっぱいを飲んでいるときに、母親が満ち足りて幸せな気分でいると、それを「自分じゃないもの=母親=世界と一体化できた」「飲み込めた」と感じ取ります。
そこから、
自己イメージ:世界と一体化している自分、世界を飲み込めた自分
世界・他者イメージ:自分を受け入れてくれるもの
という自己・他者イメージができあがります。
タイプ9の好きなこと・嫌いなこと
そして、その世界観のなかで自分を守るために、「世界と一体化している状態を維持したい」という欲求が生じることになります。
タイプ5と同様に、思春期以降になるとタイプ9にとっての口唇期の「自分じゃないもの」は、目に見える周囲の人達全員、もしくは社会、環境、世界全体に投影されます。
なので、タイプ9は思春期になると、自分と周囲の環境が平和で調和している状態を保ちたいという欲求を感じるようになります。
つまり、自分にも周囲にも何も問題がなく、安定している状態を好むようになります。タイプ9の「庭師」も、環境が美しく調和している状態を保つことが仕事ということから名付けたものです。
そして逆に、タイプ9は自分や周囲の調和と平和が乱されることを嫌います。
例えば、自分に怒りや憎しみ、悲しみ、嫉妬心などのネガティブな感情が湧き上がること、それと向き合い認めること、自分と周囲になにか問題が起こること、そして、他人が争ったり、ネガティブな感情を表しているのを見ることなどです。
また、刺激の強いもの、ホラー映画や大きな音などが苦手なケースもあります。
好きなこと | 自分と周囲が平和で調和していること、自分と周囲に何も問題がないこと |
嫌いなこと | 自分と周囲が平和でなく調和していないこと、自分と周囲に問題が起こること、ネガティブな感情を感じること、他人が争うのを見ること、自分の精神的な悩みを他人に話すこと、刺激の強いもの |
長所 | 楽観的・精神的に安定している・大らか・安心感を与える・誰とでも仲良くなれる・調停役 |
短所 | 問題やネガティブな感情を見たがらない・先延ばし癖・主観的・場の空気が読めない・客観的思考が苦手・共感能力が低い・頑固でマイペース |
趣味 | 調和・平和や安心感を感じられるもの・身体の健康法・芸術関係 |
仕事 | 人と接する仕事・芸術関係 |
タイプ9の長所
このような傾向から、タイプ9には、楽観的、精神的に安定している、大らか、安心感を与える、誰とでも仲良くなれる、調停役が上手いなどの長所が現れます。
タイプ9は、無意識的な前提として自分と世界に基本的信頼感を持っていますので、自己肯定感が高く、楽観的で精神的に安定している傾向があります。なので、タイプ9は誰とでも分け隔てなく接し、気軽に仲良くなれるコミュニケーション上手となります。
また、常にものごとの良い面を見るので、なにか問題が起きたときには周囲の人たちを安心させることができ、よい調停役になることができます。
更に欲求・不安のコントロール度が上がると、以上の長所を保ったまま、自分や他人、社会、世界のネガティブな側面も直視し受け入れ、その都度問題を解決し、自分の考えを持つようになります。
客観的思考と共感能力を身に着け、周囲の人と深い絆を築くことができます。また、常識や社会的基準で認められた以外のものにも興味を向け、広く深い知識と自分の価値観、人生観を持つようになります。
タイプ9の短所
逆に、欲求・不安のコントロール度が下がると、ネガティブな問題を見たがらないという傾向が生じます。
すると、なにか問題が起こっても向き合って対処するのが嫌なため、対応を先延ばしして結局状況が悪化するということが起こってきます。
また、問題の内容を見ず、問題が起こったこと自体をよくないと感じてしまうこともあります。
例えば、誰かが泣いた場合、何故泣いたかを考えることをせず、ただ泣いた人をかばうという行動をしたりします。
また、自分を否定されたと思うと、その内容も聞かず感情的になって相手を否定する場合もあります。とにかくマイナスの状況をプラスに変えたいという衝動が湧き上がるのです。
タイプ9は問題の中でも特に、自分や他人の精神的な問題を見るのを嫌う傾向があります。
例えば、特に男性に多いのですが、自分から女性に別れ話を切り出すことができず、連絡を取らずに自然消滅に持っていこうとする人もいます。自分の精神的な悩みを人に話すのは恥だと感じるケースもあります。
また、このネガティブを見ない傾向から、見たいものしか見ない主観的な傾向も生じます。
タイプ1も欲求・不安のコントロール度が下がると主観的になりますが、タイプ1は思考が主観的になって判断が断定的になるのに対し、タイプ9は感覚が主観的になっていきます。
つまり、ネガティブなもの、見たくないもの、精神的な繊細な感情の動きなどは認知しないようになっていきます。
それに加えて、タイプ9は周囲への信頼感が高く、ネガティブな反応をされることを恐れない傾向もありますので、尚更、その場の雰囲気が読めずにとんちんかんなことを言ってしまったり、人と話していても相手の真意がよく理解できていなかったりするという状況が生じてきます。
必然的に他人の敏感な表情の変化や気持ちの動きにも鈍感で、共感能力は低くなります。自分が話すときも思いついた順番でそのまま話すので、論理性に欠け、周囲には分かりにくいものになります。
しかし、タイプ9は自分がそうなっていることも意識していないので、周囲からは「天然」と言われたりします。これは短所にはならずその人の持ち味となり、逆に周囲から親しまれるケースもあります。
さらに欲求・不安のコントロール度が下がっていくと、より客観的な認知や思考が苦手になり、共感能力も低くなります。
すると、自分が正しいと思うことを決して曲げず、頑固でマイペースな傾向が生じます。自分の感情なども客観的に見ることが難しくなり感情的起伏がなくなって、非常に浅く狭い意識で生きる状態になります。
更にストレスがかかると、客観性がより失われて自我の構造自体にも障害が及び、統合失調症となっていきます。
タイプ9の趣味・仕事
次にタイプ9の趣味ですが、タイプ9は自分と周囲が平和で安心感を感じられるものを好みます。
タイプ9は外の環境に信頼感があるので外出好きで、自然の中でリラックスできるアウトドアや旅行を好む人も多いです。
また、精神的なものを嫌うためか、タイプ9は身体の病気の情報や健康法、身体を使った体操、ヨガなどに興味を持つ人もいます。
また、タイプ9の主観的な部分が芸術性に結びつくことがあり、その場合はタイプ1・4・7とはまた違った、ナチュラルで力の抜けたような独特なセンスを持ちます。絵画やイラスト、詩・俳句・エッセイ的な文章を書くなど、何らかの創作を趣味にする場合があります。
仕事は、多くの人と接することのできるものが望ましいでしょう。タイプ9のコミュニケーション能力や調停力を活かせる職場なら、やりがいを持って働くことができます。
タイプ9は、フリーランスや起業よりも組織の中で働く方が向いている場合が多いです。何らかの創作、デザイン、イラストなど芸術関係の仕事をする方もいます。
タイプ9−8の外面的特徴・有名人事例
タイプ9−8は、タイプ9の楽観的で安定感があり、誰とでも気軽につきあえるというライトな雰囲気に、タイプ8の強気のイメージが加わります。
顔は、タイプ9−1に比べるとややツリ目で、やんちゃな雰囲気を持っています。身体は、タイプ9に共通した特徴ですが、スタイルがよく足が長い傾向があります。
◉タイプ9−8の男性有名人
イケメン系 | 相葉雅紀・菅田将暉・上地雄輔 |
個性派系 | 氷川きよし・田中将大 |
芸人系 | 庄司智春・山崎弘也 |
◉タイプ9−8の女性有名人
清楚系 | 本田翼・藤本美貴・里田まい・安田美沙子・相武紗季 |
やんちゃ系 | ローラ・華原朋美 |
タイプ9−8の男性有名人は、「イケメン系」「個性派系」「芸人系」に分かれます。タイプ9−8の男性有名人は系統間の雰囲気の違いはあまりありません。
タイプ9−8の女性有名人は、「清楚系」「やんちゃ系」に分かれます。「やんちゃ系」は、主観的で天然っぽい傾向とタイプ8の強気さを併せ持っています。
タイプ9−1の外面的特徴・有名人事例
タイプ9−1は、タイプ9の楽観的で安定感があり、誰とでも気軽に付き合える雰囲気にタイプ1の几帳面さや芸術的センスが加わり、タイプ9−8に比べると柔らかく優しい印象になります。
顔は、タイプ9−8に比べると目は丸く優しい雰囲気になります。身体は、タイプ9−8同様、足が長くスタイルがよい傾向があります。
◉タイプ9−1の男性有名人
イケメン系 | 平野紫耀・速水もこみち・DAIGO・TAKAHIRO(EXILE) |
個性派系 | 徳光和夫 |
天然系 | みやぞん・ウド鈴木 |
◉タイプ9−1の女性有名人
清楚系 | 佐藤栞里・白石麻衣・筧美和子・安めぐみ・吉永小百合・小林麻央 |
個性派系 | 矢野顕子・俵万智(歌人) |
天然系 | 滝沢カレン・中村玉緒・山口もえ・鈴木奈々・浅田美代子・高畑淳子・藤谷美和子 |
タイプ9−1の男性有名人は、優しく好青年の「イケメン系」、暖かく優しい雰囲気の「いい人系」、芸人中心の「天然系」の3つの系統に分かれます。タイプ9−1は、9−8よりも「天然系」が多い傾向があります。
タイプ9−1の女性有名人は「清楚系」「個性派系」「天然系」に分かれます。「個性派系」は芸術的センスがあり、力の抜けた気取らないナチュラルな雰囲気を持つことが多いです。
また、特にタイプ9−1の女性有名人には「天然系」が多い傾向があります。
また、タイプ9−1はタイプ1の要素が入っているため整理整頓が得意な一面があります。したがって、経理、銀行関係、公務員などの細かい事務作業に向いている人もいます。
このような特徴から、タイプ9−1にはやや潔癖気味の傾向のある方もいます。この傾向は特に女性に現れ、家事も、「料理より後片付けや掃除・洗濯の方が得意」という傾向があります。