こんにちは、元臨床心理士の春井星乃です。
現在は、心理学・精神分析・エニアグラムを通して性格構造を明らかにする「イデアサイコロジー」を提唱しています。
前回の「日本人のあるべき本当の姿とは?」の記事を書いていて、ちょっと思いついたことがあります。
当たり前っちゃ当たり前の話なんですが、性格を捉えるときに整理しやすくなると思うので書いてみますね。
個人の性格の階層構造
イデアサイコロジーでは、性格を4つの要素の階層構造で構成されていると考えます(詳しくは「性格の階層構造」をご覧ください)。
もっとも深いレベルにあるのが遺伝の影響で、その次がエニアグラムタイプです。この2つは一生変化しません。
その上に、乳幼児期と児童期の経験の影響が乗ってきて、最も上層部に中学生から現在までの経験の影響が乗ってくると考えています。この2つは、経験した事実は変わらなくても捉え方を変えることができます。
民族の性格の階層構造
さて、以上はあくまで個人のレベルの性格の見方でしたが、前回の記事でお話したように、日本人の精神構造を考える時には言語と宗教の問題を考える必要がありましたよね。
普段、私が性格を見るのは日本人の方がほとんどなので、民族の問題についてはあまり考えてきませんでした。
でも、よく考えてみれば、個人の性格を見る時には、同時にその個人が属する民族の特徴を見なければ、本当にすべての特徴を捉えることはできないのは当然の話なんですよね。
そこで、前回の記事を書きながら、もしかしたら民族の性格も個人と同じように、4つの要素の階層構造を持っているのではないかと考えました。
最も深く無意識的に影響しているのが言語構造であり、その次が宗教で、この2つは変化することがありません。
そして、その上に、その民族の経験してきた歴史、一番表層部分にルネッサンス以降の歴史(日本では江戸時代以降:この時代設定について詳しく知りたい方は著書『奥行きの子供たち』を御覧ください)が乗ってくると考えられるかもしれません。これらは、意識しやすく、その捉え方を変化させることが可能です。
これらを意識化し客観的に分析してコントロールできているか、それとも、ある階層に同一化してそれ以下を客観視できていないのかによって、その民族のそのときの意識が決まります。
こう考えると、面白いことに個人の性格の階層構造と相似形になっています。
これについては更に検証が必要ですが、今後個人の性格を見るときには、この2つの階層構造を同時に考える必要があるんじゃないかなと思っています。